このブログは、
【トラリピ】運用資金と注文の再検討(2022年4月24日版)>超円安に備えた対応(改定版)
のタイトルで書く予定でした。

しかし、再試算した結果、全決済時に確実に損失が発生する最悪な設定でUSD/JPY買い注文を出すことになったので、ブログのタイトルをプラン名にすることにしました。

こういちの(全決済時に確実に損失が発生する最悪な)円安リスクヘッジ

USD/JPY:買い:130.20~150.00円
トラップ幅:0.2円(100本)
注文金額:0.5万通貨

全決済の条件
  • 超円安が訪れる危険が去ったと判断できたとき
  • または、含み損が100万円を超えたとき(再試算のうえ、新たな設定のUSD/JPY買い注文を発注できるときに限る)
このプランは全決済時に確実に損失が発生する最悪なものです。
しかし、クロス円の通貨ペア全体が仮に40%上がったとしてもロスカットしないプランになっています。
明日の相場は誰にも分からないので、どのようなプランにもメリットとデメリットがあります。
全決済時に確実に発生する損失は保険料と考え、私はこのプランで超円安のリスクヘッジをすることにしました。

半年後か、5年後かは分からないけれど、価格はいずれ設定レンジの中央を通ることが期待できる。
一時的には大きな含み損を抱えても、どこまでも耐える。
というのが基本的な方針です。
なので、耐えられさえすればいいという原点に立ち返って注文を再検討しました。

20円という広いレンジにトラップ幅:0.2円(100本)という注文を出した場合、クロス円4通貨ペア(EUR/JPY、AUD/JPY、NZD/JPY、CAD/JPY)の含み損を打ち消す力は、序盤ではとても小さなものになります。
しかし、USD/JPYが150円に近づくにつれ、含み損を打ち消す力は徐々に強くなっていきます。

それでも完全には含み損を打ち消すことはできません。
耐えられさえすればいいので、含み損を打ち消す力は弱くとも、USD/JPYの価格が上がっても下がっても、のんびりまったり運用できる設定で注文を出すことにしました。

このプランの試算結果

現在の価格
USD/JPY:128.58円
EUR/JPY:138.86円
AUD/JPY:93.10円
NZD/JPY:85.32円
CAD/JPY:101.14円

全体の価格が10%上がった場合
USD/JPY:141.44円
EUR/JPY:152.75円
AUD/JPY:102.41円
NZD/JPY:93.85円
CAD/JPY:111.25円
  • USD/JPY買い注文を出していないとき
    証拠金維持率:431%、評価損:8,833,361円
  • USD/JPY買い注文を出しているとき(130.20~141.40円 57本を保有)
    証拠金維持率:322%、評価損:7,254,129円
評価損を150万円程度しか抑えられませんが、この程度の上昇であれば耐えられる資金量で元々運用しているので問題ありません。

全体の価格が20%上がった場合
USD/JPY:154.30円
EUR/JPY:166.63円
AUD/JPY:111.72円
NZD/JPY:102.38円
CAD/JPY:121.37円
  • USD/JPY買い注文を出していないとき
    証拠金維持率:208%、評価損:15,749,975円
  • USD/JPY買い注文を出しているとき(130.20~150.00円 100本を保有)
    証拠金維持率:216%、評価損:8,703,794円
評価損を700万円程度抑えることができ、約900万円の評価損となっています。
他の通貨ペアも運用しているので、この程度の評価損に抑えられていると安心です。

全体の価格が30%上がった場合
USD/JPY:167.15円
EUR/JPY:180.52円
AUD/JPY:121.03円
NZD/JPY:110.92円
CAD/JPY:131.48円
  • USD/JPY買い注文を出していないとき
    証拠金維持率:17%、評価損:22,669,059円
  • USD/JPY買い注文を出しているとき(130.20~150.00円 100本を保有)
    証拠金維持率:192%、評価損:9,215,774円
USD/JPY買い注文を出していない場合は、ロスカットされます。
USD/JPY買い注文を出している場合は、1,000万円程度の評価損で抑えられます。

全体の価格が40%上がった場合
USD/JPY:180.01円
EUR/JPY:194.40円
AUD/JPY:130.34円
NZD/JPY:119.45円
CAD/JPY:141.60円
  • USD/JPY買い注文を出していないとき
    証拠金維持率:-149%、評価損:29,585,671円
  • USD/JPY買い注文を出しているとき(130.20~150.00円 100本を保有)
    証拠金維持率:172%、評価損:9,720,273円
あり得ない上昇率ですが、ここまで上昇しても評価損は1,000万程度で抑えられています。

このプランのメリットとデメリット

メリット
  • のんびりまったり運用できる
    130.20~150.00円(20円)という広いレンジに、トラップ幅:0.2円(100本)、注文金額:0.5万通貨という注文を出すので、USD/JPYが上昇しても緩やかにポジションを保有していきます。
    円高に転じたときに、含み損が急激に増えてしまうことを防げます。
デメリット
  • 全決済時に確実に損失が発生する
    超円安が訪れる危険が去ったと判断できたときに全決済してUSD/JPY買い注文の運用を終了するわけですが、USD/JPYの価格は高値で保有したポジションの価格から大きく下がっていると思われます。
    そのため全決済するときには、確実に損失が発生すると考えています。

  • マイナススワップを吸収できない
    現在、EUR/JPY売りのスワップは0円ですが、AUD/JPY売り、NZD/JPY売り、CAD/JPY売りのスワップはマイナスです。
    USD/JPY買いの大きなポジションを持てば、USD/JPY買いのプラススワップで3通貨ペアのマイナススワップをある程度打ち消せることが期待できます。
    しかし、このプランではUSD/JPYのポジションを価格の上昇に応じて緩やかに持っていくので、マイナスのスワップを打ち消すことは期待できません。

鈴さんの「円安シフト」のメリットとデメリット

鈴さんの「円安シフト」の注文は
USD/JPY:買い:126.00~130.00円
トラップ幅:0.04円(100本)
注文金額:1.1万通貨
です。

【4/17】鈴のトラリピ設定の円安シフトを前倒しで実行します
https://semiritaiafx.com/archives/toraripi-enyasu-shift.html

トラリピでの注文なので、USD/JPYが130円に達する前に円高に転じた場合のヘッジがされていますが、価格が130円に達すると110万通貨の買いポジションを127.98円で1本持ったのと同等になります。
これは相場観をもった裁量トレードであるといえます。

Q&Aでも
>Q.トラリピではなく成行で110万通貨持ってもよい?
>A.ありです
の回答がありました。

メリット
  • クロス円4通貨ペアの含み損をカバーできる可能性が高い
    USD/JPY買い110万通貨という大きなポジションを持つので、クロス円4通貨ペア(EUR/JPY、AUD/JPY、NZD/JPY、CAD/JPY)の含み損をカバーできる可能性が高いです。

  • クロス円4通貨ペアのマイナススワップを打ち消せる可能性が高い
    USD/JPYは金利の上昇が見込めるので、プラススワップが大きくなることが予想されます。
    USD/JPY買い110万通貨という大きなポジションを持つので、USD/JPYのプラススワップでクロス円4通貨ペアのマイナススワップを打ち消せる可能性が高いです。

  • 全決済時に大きな決済益を得られる可能性がある
    たとえば、USD/JPYが137円のときに超円安が訪れる危険が去ったと判断できて全決済したときには、約1,000万円の決済益が得られます。
    これは、110万通貨の買いポジションを127.98円で1本持つという裁量トレードをして成功した者に与えられる決済益です。
デメリット
  • 運用開始時の不安が大きい
    110万通貨という大きなポジションを持つと、少しの値動きで評価損益が大きく増減します。
    例えば、価格が128円(ポジションを持った価格)から125円まで下がる(3円下がる)と評価損は3,317,600円となります。
    価格がある程度上昇するまでは、高値で110万通貨という大きなポジションを持ってしまったのではないかという不安を常に抱えることになります。
    一気に価格が大きく上昇すれば良いのですが、価格は小さく上がったり下がったりを繰り返し、あるとき大きく上昇したり、大きく下降したりするものなので、この不安は長期にわたって抱えなければなりません。

  • 暴落時の含み損が大きい
    過去の1日の暴落率を見ると、1日で10円下がってしまうことが可能性としてあります。
    価格が130円に達して、注文したすべてのポジションを持ったタイミングで120円まで暴落すると8,817,600円の含み損を抱えます。

私は、2022年4月17日に
USD/JPY:買い:126.53~129.50円
トラップ幅:0.03円(100本)
注文金額:0.8万通貨
の注文を出したのですが、3日間で3円も上がる相場と重なってしまい、一気に99本を保有することになりました。
99本を保有したときには、含み益が100万円を超えました。
ここまで急激に上がってしまうと利益確定のためにいったん下がるのが定石で、天井のポジションを大量につかんでしまった可能性があります。
そのうち130円を超えるという相場観をもって大きなポジションを持つのであれば問題ありませんが、相場観のない私にはこういった状況で大きなポジションを持つことはできませんでした。
2022年4月21日に約20万円の含み損を確定させてUSD/JPY買い注文の運用を終了しました。

試算をしたときには、円安が進むのはほぼ確実なのだから耐えようと思ったのですが、実際にこういった激しい相場に直面すると耐えられないものですね。
そこで私は、全決済時に確実に損失が発生する最悪なプランではあるものの、「こういちの(全決済時に確実に損失が発生する最悪な)円安リスクヘッジ」でUSD/JPY買い注文を運用することにしました。

このプランの出口戦略

全決済時に損失が発生しない価格
132円まで上昇し、10本保有した場合:131.2円(0.8円の下落)
134円まで上昇し、20本保有した場合:132.2円(1.8円の下落)
136円まで上昇し、30本保有した場合:133.2円(2.8円の下落)
138円まで上昇し、40本保有した場合:134.2円(3.8円の下落)
140円まで上昇し、50本保有した場合:135.2円(4.8円の下落)
142円まで上昇し、60本保有した場合:136.2円(5.8円の下落)
144円まで上昇し、70本保有した場合:137.2円(6.8円の下落)
146円まで上昇し、80本保有した場合:138.2円(7.8円の下落)
148円まで上昇し、90本保有した場合:139.2円(8.8円の下落)
150円まで上昇し、100本保有した場合:140.2円(9.8円の下落)

いったん高値を付けたあと、ある程度価格を下げてから一気に暴落する形で超円安が訪れる危険が去るのではないかと想像しています。
全決済時に損失が発生しない価格で全決済できる可能性もありますが、その確率は低いと考えています。
そのため、全決済時には確実に損失が発生すると見込んでいます。

100万円を超える評価損が発生する価格
132円まで上昇し、10本保有した場合:111.0円(21.0円の下落)
134円まで上昇し、20本保有した場合:122.0円(12.0円の下落)
136円まで上昇し、30本保有した場合:126.4円(9.6円の下落)
138円まで上昇し、40本保有した場合:129.0円(9.0円の下落)
140円まで上昇し、50本保有した場合:131.0円(9.0円の下落)
142円まで上昇し、60本保有した場合:132.8円(9.2円の下落)
144円まで上昇し、70本保有した場合:134.2円(9.8円の下落)
146円まで上昇し、80本保有した場合:135.6円(10.4円の下落)
148円まで上昇し、90本保有した場合:136.8円(11.2円の下落)
150円まで上昇し、100本保有した場合:138.0円(12.0円の下落)

評価損が100万円を超えているのに、まだ超円安が訪れる危険が去っていないということは、いったん高値をつけたあと、もみ合う相場になっているということです。

これまでのUSD/JPYの最大暴落率は1日で7.5%(2008年10月24日)なので、そこから価格が7.5%暴落してもおかしくありません。

評価損が100万円を超えたあと、価格が7.5%暴落したときの評価損
132円まで上昇し、10本保有した場合:111.0円→102.6円:1,426,800円
134円まで上昇し、20本保有した場合:122.0円→112.8円:1,933,600円
136円まで上昇し、30本保有した場合:126.4円→116.8円:2,450,400円
138円まで上昇し、40本保有した場合:129.0円→119.2円:2,987,200円
140円まで上昇し、50本保有した場合:131.0円→121.0円:3,534,000円
142円まで上昇し、60本保有した場合:132.8円→122.8円:4,000,800円
144円まで上昇し、70本保有した場合:134.2円→124.8円:4,317,600円
146円まで上昇し、80本保有した場合:135.6円→125.4円:5,096,000円
148円まで上昇し、90本保有した場合:136.8円→126.4円:5,731,200円
150円まで上昇し、100本保有した場合:138.0円→127.6円:6,268,500円

最大で約650万円の評価損を抱える可能性があります。
可能ならば、評価損が100万円のとき、いったん全決済したいところです。

評価損が100万円を超えているということは、すでにクロス円4通貨ペアのリスクヘッジをUSD/JPY買い注文が担っていない状態であるといえます。
ただ、超円安が訪れる危険が去っていない状態で、安易にUSD/JPY買い注文を全決済してしまうと、円安に転じたときにクロス円4通貨ペアを救えなくなってしまいます。

評価損が100万円を超えたときにUSD/JPY買い注文を全決済できるのは、再試算をして新たな設定でUSD/JPY買い注文を発注できる場合に限られます。

最後に

いまは「USD/JPYは130円を超えないといいな」という気持ちと、「今後の勉強のため、140円くらいまで行っちゃうといいな」という気持ちが半々です。
150円まで行ったあとに超円安が訪れる危険が去ると、USD/JPY買い注文を全決済した損失を差し引いても、かなり大きな利益が得られるはずです。

でも、この円安が2年も3年も続くのはトラリピ以外の面でツライです。
なぜツライのかといえば、それは円を使って生活しているからです。
円安が続くと日本経済がボロボロになってしまうのではないかと心配です。
日米の財務相会談が行われ、日米協調介入に関する議論もされたようですが、どれだけ実効性のあるものになるか……。

これから年単位で油断できない相場が続くかも知れませんが、ロスカットされることなく生き残れるといいな、と思っています。