有効証拠金は全決済して運用を終了したらどれだけの現金がFX口座に残るのかを示すものなので、損切りをしても金額はピクリとも変わりません。

……。
「ピクリとも変わらない」は言い過ぎでした。
損切りは基本的に取引時間中に行うので、有効証拠金は10秒ごとに値洗いされて変化します(取引時間外は成行の決済注文は出せないので、指値で決済注文を出す人以外は取引時間中に損切りをすることになります)。

大きな損失を確定させたのに、実質の利益(有効証拠金-入金額)は変わらない。
有効証拠金は含み損を織り込んだ金額なので当たり前なのですが、損切りしても実質の利益は変わらないというのは、少し不思議な感じがします。

損切りをすると減るのは預託証拠金です。
損失はいったん受渡前損益に反映され、2営業日で預託証拠金に反映されます。
有効証拠金ではなく預託証拠金を増やすことを目的としてトラリピで資産を運用しているはずなのに、目先の利益である有効証拠金につい目がいってしまうというのは不思議です。

2021年10月7日のUSD/JPYの全決済では102,432円、10月8日のAUD/USDの全決済では135,137円、合わせて237,569円の損失が確定しました。
これは全運用の2か月分の実現損益に相当します。
USD/JPYとAUD/USDの運用終了は、カレンダーを2か月戻すようなもの、あるいは2か月分の実現損益を差し出すようなものとなりました。

USD/JPYとAUD/USDの運用を終了することで発生した損失は決して小さなものではありませんが、USD/JPYとAUD/USDを運用するというのはどういうことなのか、身をもって経験させてもらった勉強代だと考えると高くはない気がします。
損失があったといっても、たった2か月分の実現損益で済んでいるのですから。
また、運用終了時の合計損益は、USD/JPYが73,351円、AUD/USDが42,394円ですので、実質的には損すらしておらず、合わせて115,745円の利益が確定しています。

ZAR/JPYにしてもMXN/JPYにしても合計損益がプラスの状態で運用を終了できたのは、単に運が良かっただけです。
合計損益が大きなマイナスになろうとも、「これは違う」と思ったときには即座に運用を終了すべきです。
USD/JPYとAUD/USDに関しては、長期的にはレンジ相場になっていることが期待できるので、もう少し含み損が小さくなるタイミングを待っても良かったのですが。

閑話休題。

値洗いは10秒ごとに行われるので、有効証拠金は常に変動します。
週末の取引終了時刻になると有効証拠金の動きはピタリと止まり、10分後に少しだけ金額が変わります(週によっては、その後にも金額が変わることがあります)。
マネースクエアでは全FX口座の値洗いを10秒ごとに行っているので、取引時間中の値洗いの結果は簡易な計算による近似値なのではないかと想像しています。

ロスカットレート計算式に関する問い合わせの公式回答が「有効証拠金と必要証拠金を算出するための正確なプログラムは公開いたしかねる」となっているのは、取引時間中の値洗いは簡易な計算によって行われていることも影響しているのではないかと想像しています。
もし10秒ごとに正確な値洗いが行われているのであれば、週末の取引終了時刻の10分後に有効証拠金が変わるという現象は起こり得ません。

ロスカットレートの計算式を教えてください。

全FX口座の値洗いを正確に行うとなるとかなりの計算量が必要になるので、その処理をリアルタイムで行うのは困難だと思われます。
10分後、20分後に算出された正確な計算結果でロスカットを執行したのでは相場の急変に対応できません。
ロスカットの執行が遅れると巨額の追証が発生する可能性が高まります。
これは、顧客にとってもマネースクエアにとっても大きなリスクです。
取引時間中の値洗いが簡易な計算による近似値で行われているとしても、それは仕方がないことだと思っています。

ちょっと話が脱線しました。